木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)(県重要文化財)

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木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)(県重要文化財)

三篠川北岸にある明光寺(みょうこうじ)の仁王門をくぐっていくと、本堂の左奥に薬師堂があり、薬師像はその堂いっぱいに鎮座しています。あぐらをかくように座る結跏趺坐(けっかふざ)、手のひらを前にして右手を上げ、左手で薬壷(やっこ)を受ける典型的な薬師如来像の姿です。今では薬壷は失われていますが、左右の月光菩薩(がっこうぼさつ)、日光菩薩(にっこうぼさつ)の両脇侍(わきじ)が薬師如来であることを示しています。
坐像ととしては市内で最も大きなこの薬師像は寄木造り(よせぎづくり)で、像の各部分は鉄製のカスガイによって継ぎ合わされています。また像の表面には、漆を塗った上に金箔を置く漆箔(しっぱく)という技法を用いており、胸のあたりにわずかに残る金箔が、かつての華やかな姿をほうふつとさせます。
寺伝によると、もともとこの地には正明院薬師寺という大寺院があったのですが、福島正則の時代に寺領を没収され衰退したと言います。現在明光寺の一隅に残されている薬師堂もその正明院にあったものです。この薬師像は昔から人々に「オヤクッサン」と親しまれ、毎年5月8日の開帳の日には、多くの参詣者で賑わったと伝えられています。
なお、平成6年(1994年)から行われた保存修理で、後頭部から墨書(ぼくしょ)が見つかり、この像が亨禄3年(1530年)の作であることが判明しました。

指定年月日:昭和46年(1971年)4月30日
概要:寄木造、漆箔、像高270cm、膝張237cm、肩張145cm

その他の情報

アクセス情報 広島駅よりJR芸備線「中深川」駅で下車、徒歩5分