温井八幡のある川内地区は、太田川と古川(ふるかわ)に囲まれ、昔からたびたぴ水害に見舞われたところです。近年、田畑が次々と住宅地に変わっていく中で、このあたりだけは昔の面影をとどめています。
温井八幡の境内には、「乳下リイチョウ」と呼ばれて人々から親しまれてきた大きなイチョウの木があります。この木は大きいだけでなく、鍾乳洞の天井から垂れ下がる鍾乳石のような形をした乳柱(にゅうちゅう)を幹から多数下げた奇異な姿をしています。乳柱は老大木になったイチョウにまれに見られる現象で、時には長く伸びた乳柱が地面にとどき、根のような働きをしている例もあります。
イチョウの仲間は、1億5千万年ぐらい前には世界各地で12種ぐらいあったと言いますが、現在では日本、朝鮮、中国にただ1種が生き残っているだけです。 しかも日本の森林の中に自然の状態で生育しているイチョウは見当たらず、神社や寺院などに植えられていることが多いことから、日本には中国原産のものが伝えられたのだろうと考えられています。
所在地:広島市安佐南区川内5丁目3-1 温井八幡神社境内
指定年月日:昭和54年(1979年)3月12日
概要:
雌株 樹高約24m 根廻り5.25m
目通り幹囲4.3m
枝張・東9.5m 西7m 南6.5m 北10m