木造仁王立像(二躯)(県重要文化財)

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木造仁王立像(二躯)(県重要文化財)

東区牛田新町にある不動院は、一万千五百石を有する大寺院でしたが、今は寺域も縮小してしまいました。しかし参道の奥に構える大きな楼門は、大寺院の風格を伝える堂々たるものです。そしてこの門の左右には、 3m近い大きさの仁王像が足を踏んばり、にらみをきかせて立っています。
そもそも仁王とは、仏国土への門を守る金剛神(こんごうしん)で、邪悪な魔物を追い払う役目を担っています。そこで、筋骨隆々としたたくましい身体に憤怒の表情、手には金剛杵(こんごうしょ)という法具を握った仁王像が、寺域を守る意味で入口に置かれるようになったようです。
不動院の門を固める仁王も、実に迫力に満ちた姿です。向かって右に口を開いた阿形(あぎょう)像、そして左に吽形(うんぎょう)像、両者ともにつりあがった太い眉に大きな鼻、そして胸、腕、足など全身の筋肉に力をみなぎらせ、カッと見開いた目で参拝者を見据え、その表現力は高く評価されています。
また、像内にあった墨書銘から、二体の像は永仁2年(1294年)、快賢阿闍梨(あじゃり)の発願により、性智房を棟梁とする5人の仏師の共同作業で作られたことがわかっています。鎌倉時代の銘のある仁王像は全国でも数少く、この像は当時の雄健な作風を伝える貴重なものと言えます。

指定年月日:昭和58年(1983年)3月24日

概要:寄木造、ヒノキ材、玉眼、像高280cm

その他の情報

アクセス情報 JR広島駅からJR山陽本線「新白島」駅下車、アストラムラインに乗り換え「不動院前」下車徒歩2分