木造如意輪観世音菩薩半跏像(もくぞうにょいりんかんぜおんぼさつはんかぞう)(市指定重要有形文化財)

  • 広島市
  • 観光: 歴史・文化
木造如意輪観世音菩薩半跏像(もくぞうにょいりんかんぜおんぼさつはんかぞう)(市指定重要有形文化財)

円明寺(えんみょうじ)は言い伝えによると、弘法大師が占いによって場所を定めて創建し、かつては西国一と称されるほどの大寺院であったとも言われています。しかし今は、わずかな境内にお堂と鐘楼(しょうろう)、それに宝篋印塔(ほうきょういんとう)が一基あるだけです。お堂の中に安置されている本尊如意輪観世音菩薩は、室町時代末期から桃山時代頃の作と考えられています。保存状態がよく、衲衣(のうえ)の表面には金色の細い線で描かれた麻葉や宝ずくし等の美しい文様も残っています。また顔立ちは優しく、きらびやかな宝冠(ほうかん)や胸飾りを身につけて、全体的に華やかな印象の像です。
如意輪観音は変化観音のひとつです。6本の腕を持ち、右膝を立てて座る輪王坐(りんのうざ)や、手を軽く頬にあてて考えごとにふける姿態が一般的です。円明寺の観音像もその典型的な姿で表現されています。また如意輪の「如意」とは、これを持てば思うままに願いが叶うという如意宝珠(ほうじゅ)のこと、「輪」とは煩悩を打ち砕く法輪(ほうりん)という武器のことです。これらを携えた如意輪観音は、人々の願いを叶え、苦しみを除いてくれる仏として信仰されたのでしょう。

指定年月日:昭和60年(1985年)8月12日
概 要:寄木造、漆箔、像高56cm、膝張37cm

その他の情報

アクセス情報 広島駅前より広島電鉄電車「宮島口」「江波」に乗車し、「紙屋町西」で下車。バスセンターからバイパス経由「阿品台北・宮園・四季が丘」行きに乗車し「坪井」下車、徒歩5分