新宮(しんぐう)古墳(市指定史跡)

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新宮(しんぐう)古墳(市指定史跡)

この古墳は、船越町の岩滝山南麓のゆるやかな斜面上、標高25mの場所にあります。横穴式石室を持つ円墳で、石室内の床には板状の石が敷きつめられ、遺体の安置後に入口をふさぐ閉塞石(へいそくせき)も残っていました。
石室内には、玄室(げんしつ)と羨道(せんどう)部を明確に分けるくぴれ部分があり、左右両側からくびれているので、これを「両袖式(りょうそでしき)」と言います。また、側壁は天井部に近づくにつれて内側にせり出し、床よりも天井の横幅が狭くなる「持ち送り」の形式を取っており、比較的古い形の石室と言えそうです。副葬品として、須恵器(すえき)の坏(つき)、銀製の耳飾り、首飾りに使われたヒスイや水晶の玉類なども多く出土し、それらの特徴から、この古墳は6世紀中頃のものと考えられています。
現在、古墳の前面には平地が広がっていますが、当時は遠浅の海がすぐそばまで迫っており、稲作に適さない土地だったと言われます。なぜこのような土地に、立派な副葬品を持つ古墳が造られたのでしょうか。それは、稲作だけではなく、漁業や塩の生産などで経済力を蓄えていった有力者がいたためかもしれません。

所在地:広島市安芸区船越四丁目
指定年月日:昭和58年(1983年)3月24日